終電の前に
相良 樹⇄聖 冬吾 · 第1話
締切前夜の研究室に、二人だけが残っている。
研究室の時計は、いつも三分進んでいる。誰も直さないので、二人ともそのぶんを頭の中で引いて生活していた。
「相良、終電」 「あと一時間で終わります」 「それ、先週も聞いた」 聖はそう言いながら、自分も帰る気配がなかった。相良は画面から目を離さずに、隣の椅子が引かれる音を聞いていた。
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